
GOZILA Study(ゴジラ スタディ)

研究課題名
結腸・直腸癌を含む消化器・腹部悪性腫瘍患者を対象としたリキッドバイオプシーに関する研究
この研究は、大腸がん、胃がん、食道がん、肝胆膵領域がん、その他の消化器がん(小腸がん、虫垂がん、肛門管がん、消化器神経内分泌腫瘍/がん)、GIST、乳がん、頭頸部がん、特定の遺伝子異常が判明しているその他の固形悪性腫瘍で、薬物療法を過去に行った方、現在行っているもしくはこれから行う予定の患者さんが対象で、消化器がんをはじめとした固形がん患者さんにおける血中にあるがん細胞由来の遺伝子を調べる臨床研究です。
この研究では、血液と組織の検体を用います。血液は、新たに採取した血液の一部(20mlを1回採取)を用います。
GOZILA Studyは、多施設共同の研究として実施され、主な参加予定医療機関は、各地域のがんセンターや大学病院などです。また、各地域においてHub(ハブ)という参加施設と協力して研究に参加するSpoke(スポーク)という施設も参加医療機関です。
概要
抗EGFR抗体薬であるセツキシマブやパニツムマブは、大腸がんの治療薬として使われていますが、抗EGFR抗体薬による治療効果は個人差が大きいことが知られています。抗EGFR抗体薬については、大腸がんのRASという遺伝子の異常を調べることで、その有効性をある程度予測することが可能になりました。RAS遺伝子に異常があると効果が期待できません。そこで、抗EGFR抗体薬を投与する前に、RAS遺伝子検査を行うようになりました。その後の研究により、RAS遺伝子以外にも様々な遺伝子の異常が報告されています。そしてこれらがん細胞由来の遺伝子について血液の検査で解析できることが分かってきました。さらに、遺伝子異常に対する新たな薬剤が現在開発されているため、これらの遺伝子異常の重要性が認識されてきています。しかしながら、まだ研究データが少ないため、通常の診療において血液で遺伝子異常を検査することはできず、遺伝子異常に基づいた治療選択も一部の遺伝子異常に対してしか行われていません。以上の背景から、本研究では遺伝子異常を見つけることによって新たな薬剤を患者さんにいち早く届けることを目標に、以下について調べる予定です。
- 血中にあるがん細胞由来の遺伝子異常の頻度
- 血中にあるがん細胞由来の遺伝子異常を有する固形がんの特定とその特徴
- 腫瘍組織におけるがん細胞由来の遺伝子異常等、RNAシークエンスによる遺伝子発現やNRG1を含む情報
成果
- GOZILAプロジェクト、4000例超の大規模研究から、がん個別化医療による生存期間の延長を確認 ―Nature Medicine誌で発表―
- リキッドバイオプシーによりHER2遺伝子増幅が認められた固形がんに対するトラスツズマブ デルクステカンの臓器横断的な有効性を確認 ―産学連携SCRUM-Japan MONSTARプロジェクトの成果を米国臨床腫瘍学会旗艦誌 「Journal of Clinical Oncology」 に論文発表―
- 抗EGFR抗体薬の新たな治療標的の可能性を発見-薬物療法後にRAS遺伝子変異が野生型に変化した大腸がん患者さんに新たな治療選択肢の可能性- 「Nature Communications」に論文発表
- HER2陽性大腸がんに対する抗HER2抗体併用療法の有効性を確認 GI-SCREEN-Japan/GOZILA Studyの研究成果に基づいて、世界初の有効な治療法誕生に繋がる可能性 ―Nature Medicine誌で発表―
- 消化器がんのがんゲノム医療のさらなる発展 リキッドバイオプシーによるゲノム解析の有用性を証明へ ―Nature Medicine誌で発表―