メッセージ

“最適ながん治療薬の開発を推進する産学連携
プロジェクト、第5期における新たな挑戦”
SCRUM-Japan 事業代表者
東病院 副院長/呼吸器内科長
 

SCRUM-Japanの目的

SCRUM-Japanは、革新的な遺伝子検査を実施し、がんの患者さんに適切な治療薬を届けることを目的にして、2015年にスタートした産学連携プロジェクトです。

2024年4月から第5期の新しいプロジェクトが開始になり、肺がん患者さんを対象とした「LC-SCRUM-Asia (エルシー・スクラム・アジア)」と、すべての固形がん患者さんと血液がん患者さんを対象にした「MONSTAR-SCREEN-3 (モンスター・スクリーン・スリー)」という2つのプロジェクトを柱にして、全国約270施設の医療機関と参加の製薬企業が共同研究を進めています。

医療機関と製薬企業が一丸となって、治療対象となる遺伝子変化などのスクリーニングを行い、適切ながん治療薬を迅速に患者さんへ届けるとともに、次世代のがん治療薬の開発を促進するのが、このプロジェクトの使命です。

SCRUM-Japanの特徴

SCRUM-Japanは、質の高い遺伝子検査や、革新的なリキッドバイオプシー(血液など体液を用いてがんの遺伝子変化を検出する検査)などをがん患者さんに無償で提供して、その検査結果に基づいて、適切な治療薬を選択したり、新薬の治験に参加する可能性が広がることを目指しています。DNAやRNAなどの変化の有無を一度に100種類以上調べることが出来る遺伝子パネル検査やリキッドバイオプシーは非常に高価ですが、その費用は製薬企業や公的研究費で賄われ、患者さんの自己負担はありません。世界に先駆けて、一人ひとりの患者さんに合わせた究極の個別化治療の実現を目指したいと考えています。

SCRUM-Japanの大きな特徴は、全国の施設と多くの製薬企業の協力をもとにして、がんの治療薬と診断薬の開発を進めていることです。全国約270施設の医療機関との連携によって、通常なら被験者の募集に時間がかかるような、非常にまれな遺伝子の変化を標的にした治療薬の開発が、短期間で実施可能になっています。

SCRUM-Japanのこれまでの成果

2015~2024年(第1~4期)の9年間で、約3万例の組織遺伝子検査と約1万例のリキッドバイオプシーの結果を集積してきました。これまで新薬20剤27適応を取得するとともに、遺伝子診断薬16種の薬事承認を取得しました。

新しい治療薬や検査法の開発には非常に長い年月がかかり、期待通りの結果が出ないことも多い中で、短期間にこれだけの成果を出した研究プロジェクトは、世界でも例がないと自負しています。本プロジェクトに参加していただいた患者さんとそのご家族には感謝の気持ちでいっぱいです。すべての解析結果、臨床情報は、匿名化されたうえで、レジストリとしてデータベースに蓄積されており、今後も新薬の開発や薬事承認申請の際に活用される予定です。

2024年4月から第5期の新しいプロジェクトがスタートしました。

LC-SCRUM-Asiaでは、蛍光多重免疫染色を導入し、治療開発の推進を目指します。

MONSTAR-SCREEN-3では、これまで対象としていた固形がんに血液がんを加え、様々な解析系(空間トランスクリプトーム・全ゲノム解析を用いたリキッドバイオプシーによる再発リスク測定などのマルチオミックス解析)を導入し、新たな治療開発を目指します。

遺伝子の変化だけではなく、たんぱく質発現や腫瘍の周囲の免疫応答などにも注目することで、抗体-薬物複合体(ADC)などを始めとした次世代の治療薬開発も推進できるのではないかと期待しています。

適切ながん治療薬と精度の高い遺伝子検査を、世界に先駆けて日本の患者さんに届けることがSCRUM-Japanの使命です。これからも情熱を持って、精力的にプロジェクトを進めていくつもりです。

SCRUM-Japan第5期と今後の展望

後藤 功一

SCRUM-Japan事業代表者
国立がん研究センター東病院 副院長・呼吸器内科長
後藤 功一

2024年4月から第5期の新しいプロジェクトがスタートしました。
LC-SCRUM-Asiaでは、蛍光多重免疫染色を導入し、治療開発の推進を目指します。
MONSTAR-SCREEN-3では、これまで対象としていた固形がんに血液がんを加え、様々な解析系(空間トランスクリプトーム・全ゲノム解析を用いたリキッドバイオプシーによる再発リスク測定などのマルチオミックス解析)を導入し、新たな治療開発を目指します。
遺伝子の変化だけではなく、たんぱく質発現や腫瘍の周囲の免疫応答などにも注目することで、抗体-薬物複合体(ADC)などを始めとした次世代の治療薬開発も推進できるのではないかと期待しています。
適切ながん治療薬と精度の高い遺伝子検査を、世界に先駆けて日本の患者さんに届けることがSCRUM-Japanの使命です。これからも情熱を持って、精力的にプロジェクトを進めていくつもりです。

ページトップ